経営者インタビュー:株式会社ECマーケティング人財育成 代表取締役・石田麻琴氏(前編)

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ネット通販、Eコマースを行っている企業を中心に、インターネット上で集客を行うあらゆる企業に対して「売上をあげられる人財づくり」を旨としたコンサルティングを行う株式会社ECマーケティング人財育成。自身もネットショップの店長をしていた経歴を持つ、代表取締役の石田麻琴氏のインタビューを全3回でお届けします。

 

敏腕ネットショップ店長はなぜ辞めたのか

──石田社長は現在の事業を興される前はネットショップの店長をしてらっしゃったんですよね。

「Yahoo!ショッピングに出店している店舗の店長を3年くらいやっていました。その後2年くらいは店長を他のスタッフに任せて、店長へのマネージメントのようなことをしていたので、厳密に言うとずっと店長をしていたわけではないですね。ただ、その店舗のマーケティングの担当ではあるので、『店長』と言ってもそれほど間違いではないと思います」

──一人で店舗を担当していたと聞きましたが。

「一人でやっていたといいますか、店舗のマネージメント担当が僕一人ということですね。実際にサイトのコンテンツを作ったり、写真を撮ったり、商品を取ってきたりという専門のスタッフがサポートについていて、細かい作業は任せていました」

──Yahoo!ショッピングのベストストアを8回受賞されていますが、これはどういった賞なのですか。

「Yahoo!ショッピングの中にいくつかのカテゴリがあるじゃないですか。僕のやっていたお店は「貴金属」のカテゴリだったのですが、その「貴金属」カテゴリの中で上位3番以内に入ると『ベストストア』という賞をもらえるというものです。

8回というのが多いのか少ないのかは、もっと多い人もいるので何とも言えませんが」

──その後2011年に「株式会社ECマーケティング人財育成」を設立し、ネットショップで物を売る側からコンサルティングをする側に切り替えたのには、何かきっかけがあったのでしょうか。

「僕が店長をしていたネットショップと、他にも同じ会社でやっている中に、もうひとつ売り上げの大きいネットショップがあったんです。そちらのショップは前職の社長が一人で担当をしていました。

この2店舗で会社の売上の大部分を占めていたのですが、その会社の従業員は20人いたんです。

マネージメント以外にも色々作業とか雑務があるので人数はそれなりに必要になってくるのですが、それにしても20人いて『主に売上を作っているのが二人』という状態だったんですよね」

──二人だけが突出していた、と。

「その時に『ネットショップの店長やマーケティングの担当をやれる人があと一人か二人いれば、この会社はもっと上を目指せるんじゃないか』と思ったんですよね。

残りの18人が売上を作れるようになればこの会社はもっと伸びると思っていて、前職の社長にも結構提言はしていたんです。『やっぱり人を育てていかなくてはいけないですよ』という風に。

でも、その時の社長の答えは『それはいいから、君が今のお店の売上をもっと増やしてくれ』というものでした。社長には社長の考えがあってのことだとは思うのですが、それでも僕は『いや、そうじゃないんじゃないかな』と思ったんです。

そんな事を考えながら仕事をしている時、たまたま今うちの会社で役員をしている岩佐に会ったんです。それで『もう会社辞めてそっちやった方がいいよ』と言われました。それがきっかけですね」

──それで社名にも「人財育成」を掲げているんですね。

「そうですね」

 

 

「石田さんって現場の方ばかり見てますね」

──経営層に対してアドバイスをするのではなく現場の中に入って支援を行うのは、現場の各個人を育てていきたいという思いがあるということなのでしょうか。

「僕のセミナーやコンサルを受けてくれた人の感想で結構多いのが、『石田さんって現場の方ばかり見てますね』というものです。経営者にインターネットの考え方だとかどうやってインターネットを使って売上を増やすかだとかを教えるのも大切なんですけど、結局は現場のスタッフが動かないと売上って上がらないんですよ。

経営者に何も言わないわけではないですけどね。でもやっぱり僕は、経営者に対してあれこれ言うことにそんなに意味がないと思ってしまいます。

コンサルとして一番楽な方法は、社長が言うことに『うんうん』と頷いておべっかを使うことですが、それでは売上は上がらないので、あくまで僕は現場本位です」

 

 

現場の代弁者でありながら現場を叱咤激励

――現場の代弁者になるという感じなのでしょうか。

「そういう面もありますね。経営層と現場には必ず意識のズレがあるじゃないですか。例えば、社長の思いが現場に伝わっていなかったり、現場が社長に対して物を言うのを諦めてしまっていたり。

そのズレに対して、現場の代弁者になることで歯車を変えてあげると、それだけで流れが変わることは結構多いです」

――「現場の代弁者」とはいっても、現場を改善するためには現場の現状を肯定して経営層に伝えるだけではなく、「お前ら変われ」と言わなければいけないわけです。現場の代弁者になりつつも、一方で現場を変えていけるのって、どういった立ち位置で話をしているのでしょうか。

「僕が現場の代弁者になる一つの理由は、現場の方が経営者よりも絶対に弱い立場だからです。だから、現場に偏ってサポートをするんです。

もう一つは、基本的には僕が何を言っても経営者が変わるとは思っていないからです。経営層は実践として動くわけではないので、実務の経験や実践の中で気付くことが限られてくる。だから、実際に動いている現場のスタッフが自分で気付けるようなった方がよいのではないかと思うんです。

現場の代弁者になるからといって『現場の様子は社長に伝えておいた。お前らあとは何もしなくていいよ』はダメなパターンで、『俺が代弁者になってやるから、お前らは俺が言うことを徹底的にやれ』という感じですね」

 

 

現場のスタッフ自身が育っていかなくては意味がない

――現場に「変われ」と言う際は、最初にレクチャーをするのですか。

「多少はレクチャーしますが、スキル的なものや全体につながるセオリーみたいなものだけですね。基本だけ教えて『あとは自分でがんばりましょう』っていうのが僕のコンサルなんですよ。だから、HTMLがわからないとかAnalyticsの見方がわからないとかであればやり方は教えます。ただ、実務をやってあげるということはしない。

実務をやってあげることで信頼関係を作ろうという気持ちはまっとうだと思うのですが、やってあげてしまうと相手もそれを期待するようになってしまいます。それよりも、あくまで現場のスタッフが自分でできるようになってもらおうというスタンスです」

突出した売上を持つ店長であるよりも、個々のスタッフを育成する側の立場を選択した石田氏。次回は、現場スタッフを“自分で売上を作れる人財”に育てていくための「伴走型コンサルティング」の詳しい内容についてお聞きします。