経営者インタビュー:株式会社ポップインサイト 代表取締役・池田朋弘氏

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リリースしたWebサイトやアプリをユーザーがどのような気持ちで利用しているか、正確に把握することができているでしょうか。日本ではまだあまりメジャーではない「ユーザーテスト」という手法を、独自のスタイルで安価に提供する株式会社ポップインサイトの代表取締役 池田 朋弘氏に話を聞きました。

 

「どう作るか」だけでなく「どう使われるか」の重要性をもっと広げたい

――初めて知った人のために、ユーザーテストとは何かというのを簡単にご説明いただいてもよろしいですか?

「Webサイトやアプリを実際のユーザーが使う様子を横で見たり、横から質問することで、ユーザーの気持ちやニーズ、今後の課題などを発見するための調査手法です」

――ユーザーテスト事業を興すことになった経緯をお聞かせください。

「大学時代には、メンバーの一人が作った会社でCMSの制作やWebサイトの構築をしていました。

その後、新卒で入った会社がユーザーテスト手法を使用したコンサルティングの会社で、これまでの(Webサイトを)作っていた側から改善する側として支援するようになりました。

やってみてわかったのは、作っている時には基本的に『どう作るか』に意識がいっていて、『どう使われているか』ということにあまり意識がいっていなかったということです。

作り手として裏側には詳しくても、使っているお客さんがどんな気持ちでいるのかを知らない限りはどんなに裏側に詳しくてもいいサイトは作れないわけですよ」

――なるほど。

「そういったユーザーの気持ちの部分をしっかり分析して提案をしたところ、コンバージョンが10倍になるなどの成果も出まして、この方法は面白いなと思いました。

ただ、周りを見渡してみるとなかなかやっている会社はいない、と。

何故かというと、実際にモニターを呼んできて、プロのコンサルが横について行うユーザーテストは非常にコストが高いんですよ。なので、大手の会社にしか使えないサービスになっていてもったいないなと」

――人件費や場所代などの費用がかかりますもんね。

「ところが海外では、自宅でテストをしてもらって、それを録画してアップしてもらうというライトなリモートユーザーテストのサービスがありまして、年間数万件のユーザーテストが既に行われていたんです。日本には当時それがなかった。

これをやってみたら面白いんじゃないかと思い、2013年に起業しました」

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ユーザテストはアクセス解析やインタビューではわからない「細かな心理データ」が得られる

――ユーザーテストを行うと、他のリサーチ手法と比較してどのようなことが分かるようになるのでしょうか。

「色々な視点があるんですけど、ざっくり分けると定量的な調査と定性的な調査があると思っていまして。

定量というのは、数字でわかるような、アクセス解析でいうとあるページに100人来ましたとかコンバージョン率が何パーセントですとか、そういったものです。

定性調査というのは、ある特定のAさんがこんな気持ちで探しているとかこれが知りたいっていうのが分かる調査になります。

定量調査と定性調査はセットで使うべきと言われています」

――ユーザーテストは定性調査に含まれるんですね。

「定性調査には他にアンケートやグループインタビューがありますが、アンケートやインタビューでは過去の経験を振り返って文字にしたり回答したりすることになるので、リアルタイムではないんですね。

人間の短期記憶っていうのは、たとえば今話したことも10秒以内には8割忘れてしまうと言われていて、後からではあまり出てこないんですよ。

サイトをお店に例えると、あのお店は本当に不味かったというようなすごく印象に残ったことは後々まで覚えていても、入り口がどうだったとか箸の置き方はどうだったかとかいう話はその場でないと分からないんです。

分かる内容の粒の細かさというか、具体性が高いのはやはり実際に使いながら行うユーザーテストだと思っていて、そこはすごく価値があると思います」

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――Webサイトを作って、アクセス解析だけはとりあえずやっているという会社さんも多いと思うのですが……

「アクセス解析は定量調査の代表例ですが、どうしてもそれだけでは片手落ちなんで、アクセス解析系のベンダーさんとかとはどんどん提携をして、アクセス解析の際にユーザーテストをちょっと足しましょうよ、というようにやってます」

――どちらかだけではダメなんですね。

「アクセス解析すらもよくわからなくて使っていない方でも、ユーザーテストは簡単なんですよ。ユーザーが使いながら『これ説明が分かりにくいですね』とか『ボタンどこにあるんですか』とか言っているのを見るだけなんですから。誰にでも分かります」

――現在Webマーケティングを何もやっていないようだったら、まずはユーザーテストから、と。

「そうです」

 

「データの質」と「データの使いやすさ」が強み

――同業他社と比較して、御社の強みなどありましたら教えていただけますか?

「リモートユーザーテストという領域で競合している会社との違いは、データの質とデータの使いやすさですね。

データの質という点では、ユーザーテストは『誰がやるのか』が非常に重要です。例えば経営者がターゲットの本気経営.comを主婦や学生が使ってもあまり参考にならないじゃないですか。

弊社ではそういうセグメントや属性でモニターを絞り込めるようにしています。同業他社では『20代男性』『30代女性』のようなくくりでしかモニターを指名できないことが多いです。

もうひとつのデータの使いやすさという点では、ユーザーテストの結果って動画データなんですけど、60分の動画をもらっても全部見る人なんか大していないんですよ」

――そうですよね。

「うちでは動画の再生画面の右側に発見点リストを付けるようにしていて、それをクリックすると動画のその部分だけ再生できるようにしています。動画を全部見なくても大体何が良いのか悪いのかが分かるデータを提供できていると思います」

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Webディレクターは「営業経験なき営業マネージャー」になるべからず

――池田社長がユーザーテストを「広めたい」と思う原動力は何ですか?

「Webサイトは営業マンで、サイトを作っている人達は営業マンを育成しているマネージャーみたいなイメージなんです。

実際の営業マンは現場に行ってお客さんに怒られたりキツい言葉を投げつけられたりという辛い経験を経て成長がありますが、Webサイトはアクセス解析の数値が伸びないだけで誰も文句を言ってくれない。悪いかどうかもわからないんですよ」

――そうですね。

「営業マネージャーっていうのは、自分が営業経験を経ているから営業マンを育成できるわけですよ。作る経験はあっても使ってもらった経験がないWebディレクターは、営業の現場に行かずに営業マネージャーやってるような感じなんです。それではいい営業マンができるわけないじゃないですか」

――ユーザーテストを行うことで、お客さんと対面することができるのですね。

「実際にユーザーテストを行うと、自分が作ったものがすごいダメ出しされるわけですよ。昨日『完璧だ』と作ったものに『これめちゃくちゃわかりにくいですね』みたいな。

でも、そういう経験を経てだんだん売れるサイトとか価値があるサイトを作れるようになってくるんで。それを広めたいです」

――ありがとうございました。