創業者が「辞めどき」を考えるタイミング 〜「売れる会社」のつくり方(上)〜

苦労して会社の経営を安定させ、事業を着実に成長させてきたオーナー経営者に必ず訪れる大きな課題があります。それは、「自身の辞めどきをどこにするのか?」という課題です。

この課題に対する答えの一つは、「会社としてまだ成長できると確信があり」、かつ「もう少し自分でやれる気力がある」ときが程よい「辞めどき」だと考えています。

また、会社を辞める(イグジットする)方法の一つとして、会社売却があります。もし、自分の引退と同時に会社売却を考えている場合、そのときに会社の価値がゼロであれば、会社の買い手はなく、辞めるに辞められないことがあります。

今回は、オーナー経営者に必ずやってくる「辞めどき」についてどう考えるべきかお話しします。


オーナー経営者には定年がない

一般企業の社員であれば、60歳(あるいは65歳)前後に定年退職を迎えます。そのため、定年退職がよい辞めどきの一つと言えます。

一方、オーナー経営者には定年退職のような制度がないため、働こうと思えばいつまでも働くことができます。「何歳になっても働くことができる」、もしくは「働く喜びを感じられる」ことは幸せなことだと思われます。しかしながら、オーナー経営者は「自分を自分でクビにできない」という悩みがあるのです。

事業に対して強い意欲や熱意、また体力のあるうちは、会社経営を続けていく方が良いでしょう。しかし、年齢を重ねるうちに誰でも体力の低下がやってきます。また、他にやりたい事業が見つかり、気持ちが他に移り始めることもあるでしょう。

経営者として、今の事業に対する意欲や熱意がなくなってくるということは、 そろそろ「辞めどき」を意識するタイミングだといえます。

辞めどきは元気かつ業績が良いうちに

例えば、重い病気になった場合や死を迎える場合には、事業を「渡す」ことさえ難しくなります。経営者不在となった会社は、機能しなくなるケースも少なくありません。

このように、「辞めどき」が遅れてしまうことで周囲が混乱し、うまくいくはずの会社や事業を「渡す」行為自体がうまくいかないことが有り得るのです。

また、経営者の意欲や熱意が無くなってくると、業績が低下することもあります。すなわち、経営者の精神状態が、業績に反映されるということです。積極的に投資してきた事業にも関わらず、経営者の意欲や熱意の減少に比例して投資も減っていき、売上や利益が先細りしていくというパターンです。

経営への意欲や熱意を失い、投資に消極的となれば、事業環境の変化についていくことができません。それでは、せっかく苦労して成長させた会社を、誰かに会社を「渡す」こともできず、借金だけが残るというケースも決して少なくはありません。

会社の業績が低下してくると、企業価値の減少とともに、売却によって得られる対価(=創業者利益)も少なくなります。つまり、辞めどきを誤るということは、苦心して積み上げた事業の価値を毀損させてしまう可能性があるということです。

売れる会社とは?

辞めどきを考えたとき、経営者が大きな創業者利益を得られる方法として、会社売却があります。仮に、会社を辞める方法として会社を売却しようと考えるのであれば、それまでに「高く売れる会社」にしておく必要があります。

そもそも「売れる会社」とはどんな会社でしょうか?ここでは、「売れる会社」とは「買収者が興味を示す会社」と定義します。また、「買収者が興味を示す会社」とは、「投資として十分な利益をあげられると買収者が考える会社や事業」とします。つまり、「売れる会社」とは「買収者が、投資して利益をあげられると考える会社」ということになります。

商品やサービスを販売する場合、顧客の立場に立って「どんな商品・サービスが欲しいか?」と考えると思います。このことは、会社を売却するときも同じです。

会社を買収する側に自分が立った時、「『投資して利益をあげられる会社』とはどういう会社なのか?」を考えることで、「売れる会社」はどのような会社なのかが具体的にイメージできると思います。

まとめ

今回は、オーナー経営者ならいずれ必ず直面する「辞めどき」という課題について考えました。

経営者は、どうやって事業や会社を辞めるのか考えておく必要があります。会社を辞める手段として、会社売却を選択する場合、売れる会社でなければ買い手は現れません。

では、売れる会社とはどのような条件を満たす会社なのでしょうか。次回は、売れる会社に必要な3つの条件についてご説明します。

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