中小企業経営者必見!目からうろこの有給休暇対応 4つのテクニック

有給休暇は、言うまでもなく労働者の権利です。

しかし、使用者たる経営者にとっては、頭を悩ませる問題であるということが正直なところではないでしょうか。

リソースに余裕のある大企業であればともかく、たった1人の従業員が休みを取るだけで、業務が回らなくなってしまう中小企業も少なくありません。とはいえ、「中小企業だから有給休暇をとらせない」というのは法律上許されることではありません。

今回は、人的リソースの限られた中小企業に活用して欲しい、有給休暇対応に関する4つのテクニックを紹介します。


1. 有給休暇を計画的に付与する

1つ目は、有給休暇の計画的付与です。

有給休暇は、原則として労働者の希望する日に取得させる必要があります。しかし例外として、労使協定を締結した場合には、5日を超える部分を会社が指定する日に取得させることができます

例えば、祝祭日を有給休暇の計画的付与日として労働者と合意できたとします。そうすると、特に取り決めもなく祝祭日を休日にしていた会社にとっては、有給休暇を効果的に消化することができます。

2016年度であれば祝祭日は16日あります。よって、有給休暇を21日持っている労働者であれば、祝祭日の16日を有給休暇として消化させることができます。残りの5日は、労働者本人の病気や私用のために使ってもらうようにするのです。

では、有給休暇の計画的付与の労使協定を結ぶために、労働者の理解を得られるようにするにはどうすれば良いでしょうか。

説明のポイントは、「残りの5日間の部分は自由に使って良い」という点を強調してPRすることです。これまで有給を取りにくい雰囲気だった職場であれば、5日間は有給を取れるということをはっきりさせることで、むしろ支持を得られことでしょう。

2. 有給休暇運用ルールの整備

2の目は、有給休暇の運用ルールを整備することです。

業務の繁忙期に有給休暇の申請をされることは、経営者にしてみれば「勘弁してくれ」と思うのが本音です。一方で労働者は、「法的に認められた当然の権利」という認識を持っており、両者の話は感情的になりがちです。

両者の感情的な衝突を緩和する有効な手段として、有給休暇の運用ルールをあらかじめ社内に周知することがあります。

具体例として、まず事業年度の最初に、使用者が年間カレンダーに基づき、有給休暇の取得をなるべく控えてほしい繁忙期を明示しておきます。有給休暇の取得を禁止することはできませんが、「なるべくこの時期に有給休暇を入れないでほしい」と、労働者の配慮を求めることは可能です。

通常の労働者であれば使用者の意図を汲み取って、繁忙期に有給休暇を入れることは可能な限り避けてくれるでしょう。

また、毎月初には、有給休暇の取得予定日を各労働者から提出させることも重要です。労働者にとっては、申請するタイミングが図りやすく、会社側も土壇場になって慌てることもありません。

有給休暇の取得予定者が重なった場合、時季変更権の要件を満たさない限り変更を「命令」することはできません。しかし、予定の再調整を「お願い」することは可能ですので、業務と有給休暇の調整を余裕持って図ることは可能なのです。

3. 業務の標準化

3の目は、業務の標準化です。

有給休暇が取りにくい理由は、会社側と労働者ともにあります。会社側からしてみれば、「あの人が休むと業務が回らなくない」という懸念であり、労働者側も責任感が強い人ほど「会社に迷惑をかけてしまう」と考えるので、なかなか有給休暇の取得に踏み切れません。

そこで、できるだけ属人的な業務を排除し、日常的な業務に関しては誰でも対応できるようにします。すなわち業務の標準化です。

参考記事:なぜ経営者も現場も属人的な業務を仕組化しないのか?

例えば、「倉庫管理の達人」のような社員がいたとして、「その社員がいなくなったら倉庫の業務はまったくのブラックボックスになる」というような状態は、非常に良くありません。その人がいなければ業務が回らないことが明白ですので、「倉庫管理の達人」は有給休暇を取得することは滅多にできないのです。

また、倉庫管理の達人もいつかは定年退職します。もしくは、転職をしたり、病気で働けなくなったりするかもしれません。

このように、属人的な業務を減らして業務を標準化するということは、会社のリスク管理にもなるのです。

4. 退職金規程の見直し

4つ目は、退職金規程の見直しです。

有給休暇の話で退職金とは意外かもしれませんが、退職時に有給休暇をまとめて消化されることは、経営者にとって頭の痛い悩みなのです。

有給休暇を使わずにキープしていた人の場合、最大で40日間もの有給休暇を持っていることになります。このような人が、退職届を出すと同時に有給消化に入ってしまえば、約2ヶ月の間、全く労働の提供がないにも関わらず給料や社会保険料を払わなければなりません。

さらに、引継ぎも行わずに退職をされてしまっては、その後の業務にも支障がでかねません。まさに「踏んだり蹴ったり」の状態に陥ってしまうのです。

そこで、退職金規程の中に、「会社が求める引継ぎを行わずに退職した場合には、退職金が不支給ないし減額となる場合がある」という定めを織り込みます。

退職金は、通常の月度賃金とは異なります。「支払うか否か」や「いくら支払うか」については、公序良俗に反しない限り会社の裁量に委ねられています

そこで、「退職金の支給」と「引継ぎの実施」を交換条件にするのです。同じ自己都合退職にしても、引継ぎをきちんと行った者と、身勝手に退職していった者で退職金に差を設けることは、充分に合理性があるといえます。

まとめ

有給休暇の取得に関して、経営者と労働者が感情的な衝突をすることは、お互いに不幸です。そこからは何も生まれませんし、むしろ職場の雰囲気が悪くなってしまうだけです。

まずは会社の規模や体力に見合った有給休暇のルールを構築して、ルールの中で労使が配慮しあい、お互いが気持ちの良い形で運用を図ることが大切です。

そうすれば、従業員のモチベーションとともに、会社の業績も上がっていくはずです。

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